「子供のころからやんちゃで、親には迷惑をかけた」と語る相坂さん。そんなこんなで、青森を出てから20年経ち、青森にUターンし、亡き父の代わりに実家のりんご農家を継ぐことに。
今では人一倍、藤崎町、白子地域を愛し、りんごに熱心に向き合う熱い男です。
波乱万丈の人生を生きた相坂さんの半生を伺いました。
りんご男クリエイト農園 相坂清志(おおさかきよし)
青森県藤崎町白子地区出身。
高校卒業後、東京、名古屋と移り住み、名古屋には20年ほど在住。
2015年に青森に戻り実家のりんご農園に就農。現在、原木公園のりんごの管理も行なっている。
周囲の方々に恵まれりんごが作れている。
ーりんご農家になったきっかけを教えてください。
高校卒業後に、青森で就職しましたが、当時はやんちゃすぎて会社をやめちゃいました(笑)
この状況を見かねた父が、「青森にいたら周りに迷惑をかけるから東京にいけ!」と。
それで東京に上京し就職をしました。数年してから名古屋に移り住み、新しいことにチャレンジして、そのまま20年くらい住んでいました。
りんご農園に関わるようになったのは30歳くらいです。その頃はまだ名古屋に住んでいましたが、母が病気になったことがきっかけで、毎年りんごの収穫が忙しくなる10月には帰省してりんごの収穫を手伝うようになりました。
その後、父も病気になり他界したことで、今後の人生を改めて考えて、両親が一緒に作ってきたりんご農園を継ぐことにしました。
小さい頃から本当に親には迷惑をかけてきたので、親孝行の時期かなと思って決心しました。
今は親が作っていた畑に加えて、藤崎園芸高校がなくなるタイミングで原木公園のりんごも育てています。
ーやんちゃ時代のお話も詳しく聞きたいところですが(笑)、どのように栽培技術を習得したのですか。
周囲の人に本当に恵まれていたと思います。
幼い頃からやんちゃだったので、白子地区では私のことを覚えている方が多く、りんごを栽培していて、わからないことがあればすぐに近所の畑の人に聞きに行きました。
幸いなことにみなさん優しく教えてくれまして、それが知識となり、経験となりました。
また、りんご栽培の中でとても大事な剪定作業については、師匠に何年も教えてもらいました。
現在は、農薬などについて勉強するため、病害虫マスターの講座を受講しています。
りんごは身体の中に入るものなので、農薬についてはしっかりとした知識が欲しいという想いからです。
りんごを育てる上で必要なことを勉強するのはとても楽しいです。
記録に残るような味のりんごを。
ーりんごを生産する際のこだわりを教えてください。
りんごの味をとにかく大事にしています。
どのような栽培方法であればりんごの味が良くなるのかをいつも一番に考えています。
昨年、直接販売をする機会があったのですが、努力の甲斐もあって「初めてこんな美味しいりんごを食べた」と言われたときは嬉しかったです。
見た目が良いりんごはたくさんありますが、見た目の記憶よりも、美味しいという味の記憶は頭に残りやすい。記憶に残るようなりんごを提供していきたいですね。
ーりんご農家の面白さは何ですか。
りんごのスタートは冬の枝の剪定作業からです。その結果が翌年の秋にわかるというのが面白いです。
葉も実もない冬に、想像しながら剪定するのですが、少し切りすぎたかな?と思っていても、実際に葉がつき、実がなると、切りすぎたと思ったところがちょうど良かったりする。
翌年は、前の年の剪定の反省を活かして、さらに美味しいりんごが作れるようになる。
毎年勉強です。これが楽しいし、やりがいです。
りんごの販売についても、やり方次第で売り上げが変わります。その工夫の仕方なんかを、仲間と話し合ってできるのも面白いです。
この生産する喜びと販売する喜びを味わえるのはいいですね。
無事に収穫できて、販売して、嬉しそうに買ってくれて、美味しいと言ってくれたら、何にも代えがたい最高の喜びとなり、来年また頑張ろうという力になります。
藤崎町を農業就職率No.1の町に。
ーメルシー、きおう、とき、ほのか、ぐんま、王林、きんせい、ふじ、ちゆき、紅はつみなど10種類以上の品種を栽培されていますね。
両親から受け継いだ畑を、そのままやるだけでは面白くないと思い、常にチャレンジすることを心かげています。
特に、味にこだわったりんごを提供したいという信念を持っているため、私が食べて美味しいと思う品種を育てるようにしています。
また、作業の分散という観点からも多品種を選んでいます。
藤崎町全体に言える事ですが、高齢化はやはり進んでいます。
また、作業の面でも、同じ品種だけだと、作業が一時期に集中してしまいますので、高齢の方でも作業をしやすいよう作業の分散を目的で品種を選定しています。
ー今後はどのような事にチャレンジしいていきたいですか。
今は個人事業主なのですが、法人化していきたいと考えています。
法人化する事で、高齢のためにりんご畑を手放す人を救い、白子地区の畑を白子地区の農家で運営していければと思っています。
これは白子地区で育ってきた私の願いみたいなものかもしれませんが、地元の人で地元の畑を管理していければと思っています。
また、法人化する事で若手の雇用にも繋げられるようにしたいです。
若手と一緒にやれるような環境を作り、藤崎町を農業就業率No.1の町にしたいですね。
これからも藤崎町のためになることをやっていきます。
ー最後にりんごを買ってくれる方にメッセージをお願いします。
うちのりんごは昔ながらのふじをはじめとした多品種を栽培しています。
最近は色にこだわったりんごが多いですが、当園では味にこだわったりんごを栽培しております。
とにかく美味しいりんごを皆様に提供したくて、園地の名前も”りんご男”としております。
真の”りんご男”になるためにこれからも味にこだわり栽培してくので、是非うちの美味しいりんごを食べていただければなと思います。よろしくお願いします!